数少ない軍陣医療を記した書籍
陸上自衛隊三宿駐屯地に医療史博物館「彰古館」がある。
ここには明治以降の軍陣医学を物語る多くの資料があり、
その数は8000点とも言われる。
当初、赤十字のマークになった赤一文字の医療背嚢(表紙写真)や
熊本神風連暴動時刀傷図、弾片が写る乃木大将のX線写真、
渡邉淳一さんの小説「光と影」に登場する寺内正毅大尉と阿武中尉ゆかりの品々などを見ることができる。
森林太郎(森鴎外)軍医部長と海軍との脚気(かっけ)論争、
八甲田山の遭難などもよく分かる。
本書にはこの他にも西南戦争での野戦病院、陸軍の看護婦事始、
日露戦争の記録、原爆投下と軍医学校など
日本医学史に特筆される発掘資料が至宝とも言える写真375枚と共に収められている。
医学、軍事、歴史の専門家に限らず誰にでも読みやすく楽しめる。
また、「坂の上の雲」の時代背景や明治人の気骨も感じられ、語らいの題材としても最適といえる。