みればみるほどなんともいえない。 ニシワキタダシの前代未聞な作品集
パンがなげこまれた夜。ほそい店。半がわき。おそらくヤギがいる。ぶちやぶられたふすま。絶妙な言葉えらびと抜け感のあるイラスト、不条理な設定にじわじわイメージがふくらむ、イラストレーター・ニシワキタダシの作品44点。本人が絵の背景を推測(?)する文章と作品解説がみっちり入っています。「絵は自由でよいのです」の言葉のとおり、どこを省略したのか、色や配置、言葉など、「ゆるい」と評される絵の裏側で、かなり丁寧で緻密な構想が練られていたことも窺い知ることができる1冊。綴じこみの「ラフBOOK」は、作品ができるまでのラフを公開したもの。カバーから本文、本体表紙に至るまで、特色インク4色+黒1色印刷という実験的な本の設計も見どころのひとつです。