写真家・富澤大輔、新たなる出発点。
写真家・富澤大輔による本作「臥遊」は、
KYOTOGRAPHIE (京都国際写真祭)の「KG+」で発表され、
京都の印刷所=京都新聞印刷にて実際の新聞と同じ印刷機で刷られた、
新聞型大判写真集です。
"臥して以て之に遊ばん"
これは中国の隠者、宗炳(そうへい、375年~443年)が、
山水画の前で臥したまま…つまり寝そべりながら、
想像で、山水画に描かれた風景の中を歩き楽しむことを語った言葉です。
過去を写す「写真」に対して、山水画は、神や仙人の住む憧れの地、
つまり現実を離れた桃源郷=「時間の外側」の風景を描きます。
"臥遊"とは、記憶の一部を写真的な見方に依存している現代の私たちにとって、
風景/記憶/過去/時間といった人間の体の「想像する力」の本質に迫る
重要なキーワードかもしれません。
『写真が持つ「世界への窓」としての性格を、前近代的なものの見方に思いを馳せながら、
「過去のとある瞬間としてではない写真」の在り方を考えた。』と語る、
富澤の新たなる出発点となる写真集です。