こどもの喜びに気がつき、つながり、語り合う道具。
この本は、保育現場で乳幼児教育に携わる方々のためにつくりました。
保育現場には、必ず絵本があります。今、絵本は子育ての現場に必要な「道具」です。
絵本はこどものすぐそばにあり、保育者たちは毎日のように絵本を手に取って、こどもたちに語りかけます。
どうして、私たちはこんなにもこどもに絵本を読むのでしょうか?
そこにどのような価値を見いだしているのでしょう?
もしかしたら、あまりにも当たり前に絵本があるので、
私たちはそこにある価値を見失っているのではなかろうか…。
さらには、その価値が時代とともに変化していることにすら気が付いていないのではなかろうか…。
ふと、そんなことを感じたのです。この本はそんな小さな問いかけから生まれました。
大人って、こどもが楽しんでいるのにも関わらず、
そこにある楽しみを理解できずに否定的な言葉をかけてしまうことが本当によくあります。
確かにこどもだったはずなのに、こどものように楽しむことがなかなか難しい。
だからこそ、大人にはこどもが必要なように思うのです。
助け手としてのこどもの存在が…。
ですから、彼らに耳を傾けることから始めようと思うのです。
今を生きているこどもたちにとって、絵本とはどのような存在なのか?
これが、この本の根底に流れているまなざしです。
いつの時代も、こどもたちは自分が感じている気持ちをそのまま受け取って、
ともに喜び合える大人を求めているように思うのです(もしかすると、大人であってもそれは同じかもしれませんね)。
そんなこどもを頼りに、皆さんと一緒に「絵本」について考えてみようと思うのです。