子どものくらしの感覚を引き出すごっこの遊び。
これは、ごっこ遊びの「具材」の研究を続ける「具材クラブ」の実践をまとめた本。
「具材クラブ」は、育児と遊びについて研究する目的で発足された
「子どもの生活と遊び研究会」のクラブ活動のひとつ。
ごっこ遊びの面白さは、具材を売り買いするお店やさんごっこだけではなく、
調理や遊びの「過程」にあるのだと気がつき、具材の見立ての広さや、
調理しやすい重さや形、素材や量など実践を通して、研究し続けています。
子どもの想像力は自らの生活体験により、その力を発揮することができますが、
何の道具もない中では遊びには結びつきません。
例えば、ままごとコーナーに湯吞みしかなければ飲むだけですが、
急須があればお茶を入れることを遊びます。
子どもは、周りにある道具によって自分の体験や経験を想起し、遊びを通して再現を楽しみます。
具材クラブで考えている具材や環境は、子どもの生活体験を遊びに変えていく支えになるものです。
子どもによって「作りたいものをイメージする力」も「見立てる力」も違います。
ごっこ遊びの具材は遊ぶ子どもの手によって様々に見立てられなければなりません。
具材クラブではごっこ遊びの食材を「具材」と呼び、様々なものに見立てられる具材を提案しています。
子どもの想像を大切に考え、子どもの主体性を可能にする。それが「具材」なのです。
子どもたちの生活体験が遊びを通して経験となっていくために、過程を楽しむ工夫をしています。