口腔外科医によるイラストを駆使し、あらゆる困難な状況下での抜歯の勘所を伝えます!
歯を抜くのは難しい。
長年臨床に携わる口腔外科医にとっても、全ての症例で意図した通りにスムーズに抜けることはないといっても良いだろう。それは必ずしも深部水平埋伏智歯とは限らない。簡単に抜けそうに見えた大臼歯であったり、時には単根の前歯であったり。患者年齢、骨質、歯質、歯の傾斜、歯根の数……。
研修医や若手ドクターの抜歯介助をすると、先入観や恐怖心から自ら困難な状況を作り出していることに良く遭遇する。
抜歯に限らず、口腔外科手術全般として、術前にイメージできない手術は実際には完遂できず、いかに入念に手術計画を頭で描けるか、そして上手くいかないときの状況を想像でき、対応を検討できるかが重要である。
本書は、手術写真を一つも用いずに、想定しうる症例に対する抜歯戦略について解説している。おそらくそのイラストのリアリティーに関心する読者も多いと思うが、イラストを担当する小山先生が口腔外科医であるため、その勘所が上手く表現できているのが本書の特徴である。
“イラストの力”を信じ、本書が一人でも多くの臨床歯科医の日常臨床に貢献できることを願う所存である。