中世村落の文書と宮座
史料を博捜し、村落文書・地下文書と中世村落の祭祀・運営組織である村落宮座とを関連付けて論じることで、中世村落の姿とその類型を明らかにする壮大な研究。
村落内部文書の希少性と村落類型・宮座類型との関連について検討し、小領主(地侍・土豪)の作成した地下内部文書により運営される名主座村落こそが、中世村落の大多数を占める一般的な村落形態であったことを示す。
■目次■
序章 本書の目的と構成
第一節 村落文書
第二節 村落宮座
第三節 村落神話と宮座儀礼
第一部 村落文書
第一章 村落定書の諸相
第一節 紀伊国林家文書の村落定書
第二節 村落定書による生活規制
第二章 売券と地域社会
第一節 丹波国
第二節 近江国・和泉国
第三章 中世村人の署判
第一節 略押と筆印
第二節 木印署判と木印印鑑
第三節 「署判する場」の重要性
第二部 村落宮座
第四章 宮座と家
第一節 中世前期の宮座と家
第二節 中世後期の宮座と家
第三節 中近世移行期の宮座と家
第四節 近世の宮座と家
第五章 名主座の諸相
第一節 丹波国葛野荘の名主座
第二節 肥後国海東郷の名主座
第三節 南海道の名主座
第六章 小領主と宮座
第一節 畿内
第二節 南九州
第三節 東国
第三部 村落神話と宮座儀礼
第七章 村落神話の諸相
第一節 中世村落の草創神話
第二節 近江国河上荘の宮座と村落神話
第三節 近江国の村落神話
第八章 宮座の歩射儀礼
第一節 結鎮とその起源
第二節 歩射儀礼の伝播と拡がり
第三節 西の百手・東のオビシャ
第九章 宮座の唐菓子神饌
第一節 唐菓子から神饌へ
第二節 宮座神饌としてのブト・マガリ
第三節 ブト・マガリ系神饌の展開と沓形餅・牛の舌餅
終章 村落内部文書と名主座村落
第一節 村落内部文書の諸相
第二節 村落内部文書成立の状況分析
第三節 村落内部文書成立の趨勢
第四節 名主座村落
著者について
薗部寿樹 そのべ としき
1958年 東京都品川区生まれ
1982年 筑波大学第一学群人文学類 卒業
1989年 筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科史学専攻 単位取得退学
【現在】
山形県立米沢女子短期大学副学長・教授
博士(文学)[筑波大学]
【主な著書】
『日本中世村落内身分の研究』(校倉書房、2002年)
『村落内身分と村落神話』(校倉書房、2005年)
『日本の村と宮座―歴史的変遷と地域性―』(高志書院、2010年)
『中世村落と名主座の研究―村落内身分の地域分布―』(高志書院、2011年)
『日本中世村落文書の研究』(小さ子社、2018年)