「死」に怖れを感じる時、そっと寄り添ってくれる物語。
フィンランドの農村に暮らす少女シリヤが、過酷な運命に翻弄されながらも、
北欧の大自然を慈しみ、人を愛し、ひたむきに生きた姿を描いた感動の物語。
フィンランドのノーベル文学賞作家シッランパーが1931年に発表した名作。
ピアニストの舘野泉氏が2013年1月の朝日新聞で、
思い出の書物として紹介していた筑摩書房版(1953年発行)が、約70年の時を経て、待望の復刊。
※今回の復刊は送り仮名や漢字表記など、一部整理しています。
「年若く美しい田舎娘シリヤに死が訪れたのは、夏至のヨハネ祭の一週間ばかり後の、
夏の日もまだ若々しくかがやいている頃だった。」と静かに語り出されるこの物語。
原初からの光のように飾らず慎ましいが、自然で誇り高い北欧音楽の底流と同じものを感じ、
この数十年もの間に何回となく読み返してきた。
(ピアニスト舘野泉氏)